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サルベージ髙松のよもだ

副署長がつくってくれた謙悟(語)録
2013/12/27

平成25年最後の「サルベージ髙松」ですので、得意の「マルサ話」は封印して、楽しい話をします。

私は、役人生活の最後の2年間を、品川区の荏原地区一帯を管轄する荏原税務署の署長として勤務しました。
優秀で仕事熱心な副署長と、職員に支えられ、言葉どおり大過なく職務を全うできました。

退職の年には、部下の人達と一杯やっての帰りなど、問題を起こすと退職金をカットされたり、ゼロにされたりすること
から、部下の人が「署長!退職金!退職金!」とよく言ってくれていました。

昨年、四国香川県の観音寺市で、宝くじ8億円の当選が2口出ました。私がその観音寺税務署長の時、
ある朝、8時半ころから、玄関口の方で、納税者の怒鳴り散らす声が延々と続き、2階の署長室まで聞こえていました。
私は、香川の隣の愛媛県出身ですので、「ヤクザ映画のような怒鳴り」には、慣れていましたが、関東出身の署長なら、ヤクザの殴り込みだと思ったことでしょう。

「必要なら、私が相手するぞ!」と言ったところ「署長、お願いですから止めて下さい。」と懇願されました。
税務署長と納税者が、怒鳴り散らし合いの「大立ち回り」をしたとなると、
今の日本では「税務署の大不祥事」扱いでしょう。
例え、理不尽なことをわめき散らす納税者相手でもです。

「熱い税務署長」は、ドラマでは有りかも知れませんが、
現実は「穏便に!穏便に!」が立派でまともな税務署長でしょうね??
何が言いたいかと申しますと、優秀な後輩、部下のお蔭で、退職金も満額いただけたということです。

《ユーモアのセンス》

私の出身地は 四国松山で、高校の先輩には旧制松山中学の時代の先輩として、
「坂の上の雲」の秋山好古・秋山真之(さねゆき)兄弟、正岡子規、高浜虚子などがいます。
戦後では大江健三郎がいますが、大江さんの本は1冊も読んだことがありません。

夏目漱石の坊ちゃんの舞台にもなった学校ですので
私達の高校時代でも授業中に先生を「てがう」生徒がよく居ました。
「てがう」とは方言で、標準語で言えば「からかう」というほど馬鹿にしたニュアンスではなく、
親しみをもってかまうって感じです。
弟がお兄ちゃんを、「かまう」感じとでも言いましょうか。

この感じは大阪の人が言う「話には、落(おち)が必ずなければならない」という感じのプレッシャーはなく
黒板を向いていた先生が、生徒に「てがわれて」、 振り返って生徒に向かって「ニヤッと」笑うような
からかいです。

ユーモアの範囲とでも言いましょうか。

《謙悟語録の紹介》

この前、行きつけの理髪店のご主人が、お客さんの「最期の妻への言葉」を話してくれました。
癌で亡くなったお客さんが息を引き取る時に、奥さんに次の言葉を言って、息を引き取ったそうです。

奥さんが、「私もすぐに、そちらに行きますから、待って居てください。」

ご主人は、「すぐに、来なくていいよ。しばらく一人にしてくれ。」

と言ったそうです。奥さんに対するおもいやりと、
長い人生の疲れを取るためにちょっとは、独りになりたいという気持ちも、良くわかります。
あの世に行く時、このような、ユーモアのセンスのある言葉を言いたいものです。

荏原税務署の優秀な副署長が、署長の私が喋ったことをメモしておいてくれて
退職記念に「謙悟(語)録」なる冊子を作ってくれました。
その一部を紹介しますが、税務署の前のクリーニング屋さんに、勤務時間中に出入りした時の話や、
田舎の家の固定資産税を近くの郵便局から勤務時間中振り込んだなどについて、
お堅いことは言わないようにお願いしておきます。

クリーニング屋さんとの往復所要時間が5分ですので、5分署長の職務放棄かも知れませんね。

しかし、言い訳ではなく、次のように考えていました。
署長は、納税協力団体など、外部の人達との会合や、懇親の場が、頻繁にあります。
常に、綺麗に、クリーニングした臭くない洋服を着用していなければなりません。
クリーニング代は馬鹿になりませんでした。
クリーニング屋さんには、「署長がいなくなったら、お得意さん、一人減ってこまるなあ!」と言われていました。
クリーニング屋さんも、大切な納税者です。
署長と納税者との、直接の世間話は、税務署の広報活動という意味で、十分、
署長の職務5分ではないでしょうか。

《以下、謙悟(語)録の抜粋》

<1>訓示編

① 純粋に仕事上必要な気配りは無用な気配りではない!

署員同士の無用な気遣い(胡麻すり)・消耗は、互いに避けようと呼びかけた後に言った言葉

② 指導する立場の人間は『若手の出来が悪い』と言う前に、自らの教え方が下手だと気付きましょう!

人材育成が叫ばれている昨今、指導者へのメッセージ

③ 整理整頓すれば見えてくる!駅員の指さし確認の精神も大いに参考にする必要がある!

私は、人間は間違いを犯すものだと思います。
しかし、・・・の後に続けて、事務処理手順の遵守を喚起

④ 45歳以上の職員は、無理すると死ぬ。45歳の基準は、私のこれまでの経験値!

仕事は真面目に真摯に取り組まなければならないが、
命まではかけないように常に職員に言っていた。

⑤ 若手の皆さんも、もう社会人で給料も貰っているのだから、夜の懇親会費用は自ら負担しましょう。

上司・先輩の中には、子供の教育でお金がかかる方もいます。
可処分所得の多い若手職員は、可処分所得の少ない子育て世代の中間管理職に
おごって貰うことは控えましょうと訴えていた。
なぜなら、公務員は交際費の支給がないため、部下・後輩へのおごりは、
自腹となり、サラ金に走ったり、汚職に手を汚す中間管理職が出てくる原因となる。
巷で言われていた、「公務員の裏金」は、その大半が、組織の潤滑油としての飲み代などをプールしていたもので、私が若い頃、査察部勤務となった時、管轄外地域への出張の際に、先輩からいきなり、「支給された旅費の5%」を、よこせと言われました。
その金は、その部署でプールされ、仕事の区切りの際の呑む費用に充てられていたのです。
自分達がもらった金で、呑むのだから、裏金ではないのですが?

<年頭の訓示>

日本語は正しく使いましょう!

年末年始のテレビで、アナウンサーか記者が、暴風により根こそぎたおれていた木の前で、
「木が掘り起こされています。」と言った。

木を掘り起こすのは、人間かイノシシでしょう。
強風の場合は、「強風で木が根こそぎ倒されていた。」でしょう。

別のアナウンサーは、年始の、お目出度い赤ちゃんの誕生報道を「安全に出産」と伝えた。
安全に出産するのは、病院・医療機関であり、普通に出産したことを伝える場合は、「無事出産」でしょう。

<話題提供>

① 駅ホームで『コマネチおじさん』を見た、あれはまさしく芸人だ!

② 署長室に日の丸の旗を掲げたい!何か問題あるかな?
国の役所であり屋上には国旗を掲揚しているのだから問題ないと思うけど!

署長の机の後ろの壁に日章旗を張り付けるのは品位を疑われる。
机の片隅に小さな日章旗と、電子申告奨励の旗をクロスした形で置くことにした。

③ 宝くじ売り場のおばちゃんと仲良くなったが、最近、自分の思うとおりに買わせてもらえない!
こちらのマークシートを見て『欲張っては駄目』と言って勝手に書き直すんだよ!?・・・まったく!!

夕方からの会合場所に行く途中、宝くじ売り場の前を通りながら、私が、副署長に言ったそうです。

④ 退職後の営業活動でのキャッチフレーズは、
『私は中坊公平と債権回収を行った者です!』というのはどうかな!?

いわゆる、ミニ天下り(退職後の仕事の斡旋、あるいは、
税理士顧問先企業の斡旋)が全面的になくなり、
自分で顧問先の開拓をする必要があったため。

<博学編(私が博学と付けたのではありません)>

① 『般若心経』と『最先端の宇宙物理学』には、共通点がある!

どんな共通点かは、長くなるので省略します。
例えば、般若心経の不増不減、増えもせず、減りもせず。まさしく、宇宙物理!

② 平安時代の秘め事は、臭かった

平安時代の貴族は、毎日風呂に入っていなかった。
寒い京都では、冬、は排泄物を外に捨てに行かない。
色々臭いので、貴族の館では、香を焚いた。
庶民のほうが清潔で、栄養のバランスも良かったようです。

③ 実は、・・・鳥の先祖は恐竜なんです!

鳥類は、息を吐きながら、吸える肺を持っているそうで、
その呼吸法だからこそ、長距離の渡が可能なのだそうだ。恐竜の化石から、
それも、あの怖い、ティラノサウルス系の恐竜が、同じ呼吸方法だったことが分かるそうだ。

④ 実は、・・2億年後には、人類は絶滅しており、
地上の支配者は、イカで進化して人間のように、地上を闊歩しているそうです。
また、魚が進化して鳥のように、木の枝でさえずっているそうです。

これは、科学的に根拠のあることです。
今から10年程前に、
世界の各分野の学者200人ほどで、2億年後の地球の生き物について研究した結果をまとめた本が出版されました。
少し高い本でしたが、買って読みました。
今の地上の生き物が絶滅すると別の世界(海の中)から地上に進出してくるのが、
進化の常道だそうです。

それでは、皆様にとって平成26年が良い年になりますように!!